2026年8月に島根大学附属図書館本館で開催するブック★コンパス(図書紹介)では、「あの学部って何してる?」と題し、先生方からそれぞれの学科や専攻の特色が分かる本や、おすすめの本をご紹介いただきました。
本企画は、図書館コンシェルジュによるものです。
| タイトル | 法学を学ぶのはなぜ? ─気づいたら法学部、にならないための法学入門 |
|---|---|
| 著者名 | 森田 果 |
| 発行年 | 2020 |
| 出版社 | 有斐閣 |
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法学の入門的な本です。「法学を学ぶのはなぜなのか」が説明されています。
法学って他の学問とどう違うの? 数ある学問の中でどのような役割を果たしているの? 法学にできることとできないことって? このような疑問をとても分かりやすく説明してくれます。
法学部卒の先輩たちのエピソードも多数掲載されていますので、具体的なイメージをつかみながら読み進めることができます。
法学を学んだことのない人には少し難しく感じる部分もあるかもしれませんが、背伸びをして読むことで新しい世界が開けます。知的好奇心を刺激してくれるとても興味深い内容なので、ぜひトライしてみてください。
| タイトル | 寝ながら学べる構造主義 |
|---|---|
| 著者名 | 内田 樹 |
| 発行年 | 2002 |
| 出版社 | 文藝春秋 |
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社会文化学科から推薦したいのが本書です。本書は、一見すると難解に思われがちな「構造主義」を、平易な言葉と身近な例を用いて解説した優れた入門書です。
社会文化学科では、人々の行動や社会現象、文化や歴史を学びますが、それらを個人の意思や出来事の積み重ねだけで説明することには限界があります。構造主義は、その背後にある関係性やルール、社会や文化を支える見えない仕組みに着目する考え方です。例えば、社会学では社会制度や価値観の形成、地理学では空間や場所の意味づけ、歴史学では歴史叙述の枠組み、考古学では物質文化の背後にある社会構造を考察する際に、この視点は大きな示唆を与えてくれます。
本書の魅力は、レヴィ=ストロースやソシュールといった思想家の理論を単に紹介するだけでなく、「なぜそのような考え方が必要だったのか」まで、きちんとわかりやすく説明してくれる点にあります。読者は構造主義を通じて、目の前の事象をそのまま受け取るのではなく、それを成立させている関係性や文脈を問い直す姿勢を学ぶことができるでしょう。
専門書を読む前の最初の一冊として最適であり、人文・社会科学の学びに共通する「ものの見方」を身につけるための格好の入門書ですので、一度、手に取ってみてください。
| タイトル | わかりあえないことから─コミュニケーション能力とは何か |
|---|---|
| 著者名 | 平田 オリザ |
| 発行年 | 2012 |
| 出版社 | 講談社 |
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「コミュニケーション」とは、他者と「わかりあうこと」なのだろうか。劇作家の平田オリザ氏は、「人は簡単にはわかりあえない」という前提から出発し、日本社会における「コミュニケーション能力」のとらえ方と、それにまつわる課題を本書で問いかけている。「会話」と「対話」は何が違うのか。他者との「違い」や「ずれ」に遭遇したとき、どのようにしてそれを共有し、よりよい関係を築いていけるのか。話し言葉の多様性や各国の言葉の特性、近接文化圏にみられる摩擦にも目を向けながら、演劇という疑似体験を活用した教育実践や著者自身の異文化交流の経験を例に、わかりやすくそのヒントが示されている。
多様な価値観が共存する多文化・多言語共生社会において、共に生きるためのコミュニケーションとは何か。「コミュニケーション」という言葉を私たちはどのように理解しているのか。「わかりあえない」からこそ始まるコミュニケーションとは何か。その答えを考えさせてくれる一冊である。
| タイトル | 推し活の心理臨床 サブカルチャーと聖地の視点から |
|---|---|
| 著者名 | 岩宮 恵子(編) |
| 発行年 | 2026 |
| 出版社 | 日本評論社 |
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みなさんには、「推し」がいますか?
好きなアイドル、キャラクター、アスリートなど、推しのことを考えるだけで一日がんばれたり、ライブや聖地に行くと元気が出たり。あの気持ちは、いったい何なんでしょう。
この本は、そんな「推し活」を臨床心理学の視点から本気で掘り下げた一冊です。臨床心理の専門家を中心に二十名を超える研究者が、「なぜ人は推しに夢中になるのか」「推しは私たちの心をどう支えているのか」を、それぞれの角度から語っています。
おもしろいのは、推しを尊く思うあの感覚が、実は人間が昔から大切にしてきた「祈り」や「聖地巡礼」の心とつながっている、という指摘。サブカルチャーの入り口から、人間のこころの深いところを覗ける本になっています。
読み終えたころには、あなた自身の推し活の意味が、少し違って見えているかもしれません。
執筆陣には、島根大学人間科学部心理学コースの教員も多数参加しています。この一冊を通して、島大で学ぶ臨床心理学の空気感も、きっと感じてもらえるはずです。
| タイトル | 知のスイッチ—「障害」からはじまるリベラルアーツ |
|---|---|
| 著者名 | 嶺重 慎、広瀬 浩二郎、村田 淳(編) |
| 発行年 | 2019 |
| 出版社 | 岩波書店 |
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本書は、障害者の「障害」に焦点を当て、社会の制度や周囲の価値観、自分自身の先入観にとらわれず自由に物事を考える「リベラルアーツ」の視点から、「障害」そのものを捉え直すことを目的としている。
本書は、「今までとは違う問いから始める」「学問×障害=?」「当事者とは誰か?」という三つの柱で構成されている。各章では、「障害学」「建築学」「健康科学」「経済学」「倫理学」「日本語学」など、従来から障害を研究対象としてきた分野だけでなく、多様な学問領域の研究者が「障害」をキーワードとして、学問や社会に存在する「あたり前」を問い直している。この点は、本書の大きな特徴であり興味深い点である。
内容は必ずしも理論に偏っているわけではない。「障害学とは何か」を考察する理論的な論考に加え、視覚障害の有無にかかわらず誰もが楽しめる「ユニバーサル・ミュージアム」の試みや、障害の有無を問わず共に楽しみ、感じることができる「インクルーシブデザイン」の実践など、多岐にわたる事例が紹介されている。
このように本書は、「障害」を特別な問題としてではなく、社会や人間のあり方を考えるための契機を与えてくれる一冊であるといえる。
| タイトル | これからの健康とスポーツの科学(第 5 版) |
|---|---|
| 著者名 | 安部 孝、琉子 友男(編) |
| 発行年 | 2020 |
| 出版社 | 講談社サイエンティフィク |
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私たちの「健康」は、日々の運動や食事、睡眠、そして心の状態など、多くの要素が複雑に絡み合って成り立っています。本書は、それらの仕組みを豊富なデータや図表を用いてわかりやすく解説した、健康科学の入門書です。
単に「体に良いこと」を並べるだけでなく、運動が身体に与える生理学的な影響や筋力トレーニングのメカニズム、現代社会が抱えるストレスとの共存について、科学的な視点から丁寧に説明されています。
高校生の皆さんにとって、大学での学びは「身近な当たり前を科学的に探究する」ことです。毎日何気なく行っている「動く」「食べる」「眠る」という行為が、いかに緻密な生命現象に支えられているかを知ることで、身体活動や健康科学という学問の面白さに気づいてもらえるはずです。
これからスポーツ科学や健康科学の世界を目指す人にはもちろん、自分自身の心身をより良く整えたいすべての人に読んでほしい一冊です。
| タイトル | 教職をめざす人のための特別支援教育 基礎から学べる子どもの理解と支援 |
|---|---|
| 著者名 | 杉中 拓央、呉 栽喜、松浦 孝明(編著) |
| 発行年 | 2021 |
| 出版社 | 福村出版 |
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本書は、タイトルにあるように、特別支援教育の基本的な考え方から、子どもの障害特性の理解、具体的な支援方法までを体系的に学べる入門書です。
発達障害や肢体不自由など多様な子どもの姿を取り上げ、「なぜ支援が必要か」「どのように関わるか」をわかりやすく解説している点が魅力です。障害を特別なものではなく、一人一人の違いとして捉える視点や、相手に寄り添う関わり方に注目して読んでみてください。
本書は本学教育学部特別支援教育専攻の教員である藤川も分担執筆しており、1年次前期科目「特別支援教育基礎」にも準拠した内容となっています。将来教職をめざす人はもちろん、人と関わるすべての人に役立つ一冊です。
| タイトル | 表現を味わうための日本語文法 |
|---|---|
| 著者名 | 森山 卓郎 |
| 発行年 | 2002 |
| 出版社 | 岩波書店 |
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推薦図書は、さまざまな日本語表現を文法や語法という観点から見直してみることで得られる「解釈の可能性」や「表現の工夫」「表現の多様性」について、松任谷由実「恋人がサンタクロース」、竹内まりや「駅」、やなせたかし「勇気りんりん」といった歌の歌詞も示しながら分りやすく解説しています。
また、本文中には、芥川龍之介『羅生門』、宮澤賢治『注文の多い料理店』『やまなし』、太宰治『走れメロス』の一節や高村光太郎「冬が来た」「ぼろぼろな駝鳥」、中原中也「一つのメルヘン」、山村暮鳥「雲」、谷川俊太郎「かなしみ」といった詩、種田山頭火「生き残った虫の一つは火をめぐる」、高浜虚子「桐一葉日当りながら落ちにけり」、松尾芭蕉「奈良七重七堂伽藍八重桜」、河東碧梧桐「赤い椿白い椿と落ちにけり」といった俳句なども登場し、国語科の授業でも使えるネタがちりばめられています。
国語の授業が好き、日本語表現に興味があるみなさん、本書を是非読んでみてください。
| タイトル | 砂糖の世界史 |
|---|---|
| 著者名 | 川北 稔 |
| 発行年 | 1996 |
| 出版社 | 岩波書店 |
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砂糖・茶・綿布といった「世界商品」を手がかりに世界史を読み解き、世界がどのようにつながってきたのかを説明している。
本書では、特に我々の生活に不可欠な砂糖に注目する。十七世紀後半以降、カリブ海地域のプランテーションでサトウキビが大規模に栽培され、その労働力としてアフリカから多くの奴隷が送り込まれた。そこで生産された砂糖はヨーロッパへ輸出され、大きな利益を生み出した。
この過程は、アフリカからアメリカへの奴隷貿易と、アメリカからヨーロッパへの砂糖貿易が結びついた「三角貿易」の一部であった。本書は、こうした商品流通が対等な関係ではなく、支配と搾取を伴う非対称な関係の上に成り立っていたことを明らかにしている。さらに、この歴史的な不均衡が、現在でもカリブ海地域が開発途上の状態にある要因の一つとなっていることも指摘している。
| タイトル | 数と図形 |
|---|---|
| 著者名 | ラーデマッヘル、テープリッツ(著)、山崎 三郎、鹿野 健(訳) |
| 発行年 | 1989 |
| 出版社 | 日本評論社 |
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これは数学の専門家ではない普通の人たちに、数学ではどのようなことを問題にし、それに対してどのようなアイデアで、どのように解決していくのかを解説した素晴らしい本です。とりあげた話題について、何のごまかしもなく、ことばにより完全に説明していきます。予備知識はいりません。
興味を持った人は、まず第1章を完全に理解することを目標に読みはじめるといいです。まずは通読しましょうか。しかし、すぐに、小説や雑誌を読むようには読めないことに気づきます。そんな読みかたでは、表面的に通り過ぎるだけで、何も頭に入ってこないのです。先を急ぐ必要はないのです。ゆっくりと、一語、一文、一段落を、何を言っているのか完全に理解するように努めます。頭をフル回転させて自分の力で理解するのです。(すぐ他人に訊いたり、ネットで調べたりするのはやめましょう。マイナスの効果しかありません。)
本は全部読まなくてもいいのです。まずは最初の7章(の中の好みの章)を読んでみることをすすめます。
| タイトル | 僕には鳥の言葉がわかる |
|---|---|
| 著者名 | 鈴木 俊貴 |
| 発行年 | 2025 |
| 出版社 | 小学館 |
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『僕には鳥の言葉がわかる』は、動物の行動を科学的に読み解く面白さを、誰にでも分かりやすく伝えてくれる一冊です。
著者は長年にわたり野鳥を観察・研究し、「鳥のさえずりには意味があるのか」「鳥同士はどのようにコミュニケーションをとっているのか」といった疑問に、研究者ならではの視点で答えていきます。
難しい専門用語は少なく、実際の観察や研究のエピソードが豊富に紹介されているため、生物学に詳しくない人でも楽しく読み進められます。
本書の魅力は、鳥を「ただ観察する存在」から、「ヒトのように言葉を用いて情報を伝え合う存在」として見られるようになることです。読み終えた後は、身近なスズメやカラスの鳴き声にも耳を傾けたくなり、普段の風景が少し違って見えるでしょう。自然や生き物が好きな人はもちろん、科学の楽しさや研究の奥深さに触れてみたい人にもぜひ読んでほしい一冊です。
| タイトル | デューイ=ミード著作集〈9〉民主主義と教育 |
|---|---|
| 著者名 | デューイ(著) 河村 望(訳) |
| 発行年 | 2000 |
| 出版社 | 人間の科学社 |
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本書は現在の日本の教育の基盤となる新教育運動を起こしたアメリカの教育学者J.デューイの代表的な教育書です。
私たちが当たり前と考えている学校教育の日常は多くの教育学者の研究と実践に基づいて確立されました。かつては教室の机と椅子は床に釘付けされ、児童・生徒は教師が黒板に書くものを写し、覚えることが学校教育でした。現在のように実験や体験をしながら学ぶという学習活動はほんの百年ほど前に生まれてきたものなのです。そして現在はさらに「探究」をキーワードに教育が大きく変化しようとしています。本書はそうした教育の根源的な問いである「人が学ぶとはどういうことなのか」「学ぶことによって私たちはどのような社会を作っていきたいのか」が内容になっています。
また、図書館には本書の解説本『ジョン・デューイ:民主主義と教育の哲学』(上野正道著)も収蔵されていますので、是非参考にしてみてください。
【図書館からのひとこと】
『ジョン・デューイ:民主主義と教育の哲学』も島根大学附属図書館本館に所蔵しています。興味のある方はご一読ください。
総合理工学部は2025年4月から、それまでの七学科体制を一学科に統合しましたが、現在も2024年度以前に入学した方のために学科制が残っています。今回は、総合理工学部の幅広い研究分野を可視化するため、この旧学科の単位で図書を推薦してもらいました。2027年度入学の方は三分野と十四標準の履修モデルとなります。
| タイトル | 量子力学の世界 |
|---|---|
| 著者名 | 片山 泰久 |
| 発行年 | 1967 |
| 出版社 | 講談社 |
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量子力学の不思議な世界を、数式を使わずに説明している。量子力学の発展の歴史もわかる本。
私自身、高校生の時にこの本を読み、物理学の世界に引き込まれました。まだ廃刊になっておらず大変なロングセラーです。ものが存在するかどうかも、確率でしかわからないなど、量子力学の世界は、高校生にとって本当に不思議な世界に思えることでしょう。
現在はAIが時代を革新するものとして注目を集め、世界経済も牽引していますが、次の時代を担うのは量子力学を基盤とする量子コンピューターだと思います。そんな量子力学を知るための入門者向けの本です。この本は島大図書館にありますが、少々古いです。
新しい本でもっと良書があるかもしれません。
(例えば、『だからおもしろい量子力学』(マイナビ新書)など。ただし、この本は島大図書館には所蔵しておらず、私自身も読んでいませんが。)
【図書館からのひとこと】
こちらのコメントをいただいた後、島根大学附属図書館本館で『だからおもしろい量子力学』を購入しました。興味のある方はご一読ください。
| タイトル | 化学 超入門!すべては化学でできている |
|---|---|
| 著者名 | 桜井 弘(監修) |
| 発行年 | 2023 |
| 出版社 | ニュートンプレス |
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化学というと、「暗記する科目」というイメージをもっている人もいるかもしれませんが、そうではないし、それでは味気ない勉強になってしまい興味もわかないでしょう。本書『化学
超入門!すべては化学でできている』は、
から構成されており、身近な題材を通して化学の基礎をわかりやすく解説しています。高校では、化学を「なんとなく暗記」で済ませてしまうことも少なくありませんが、改めて化学の面白さ、身の回りとのつながりを理解して、今後の化学の学習をより意義深いものとしてほしいと思います。せっかく時間をかけて勉強するのですから、楽しく勉強してほしいと思います。
| タイトル | みんなの高校地学—おもしろくて役に立つ、地球と宇宙の全常識 |
|---|---|
| 著者名 | 鎌田 浩毅、蜷川 雅晴 |
| 発行年 | 2024 |
| 出版社 | 講談社 |
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『みんなの高校地学—おもしろくて役に立つ、地球と宇宙の全常識』は、高校で扱う地学の内容を基礎からわかりやすく解説した入門書です。
幅広いテーマを扱いながらも、日常生活や社会との関わりを交えて説明しているため、地学を学んだことのない高校生にもぜひおすすめしたい一冊です。
目次を見ていただくとわかるように、各章のタイトルには謎かけのような問いかけが多く用いられています。本書の特徴は、「なぜその現象が起こるのか」という疑問を大切にしながら、地球や宇宙の仕組みを解説している点にあります。高校地学の学習を助ける参考書としてはもちろん、地震や気候変動、防災など、私たちの暮らしと地球科学との関わりについて理解を深めるための読み物としても優れています。
これからの社会を生きる高校生の皆さんに、地球科学の面白さと重要性を知ってもらいたいと思います。
| タイトル | 笑わない数学 |
|---|---|
| 著者名 | NHK「笑わない数学」制作班(編) |
| 発行年 | 2023 |
| 出版社 | KADOKAWA |
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パンサー尾形貴弘氏が難解な数学の世界を大真面目に解説しギャラクシー賞を受賞した、同名NHK番組の書籍化です。単なる番組の焼き直しにとどまらず、書籍ならではの専門的な深掘りが魅力の入門書です。本書では、数学者たちを惹きつけてやまない以下の六テーマを収録しています。
単なる数式の解説本ではありません。難問に挑み、真理を追い求めた数学者たちのドラマチックな人生の物語に焦点を当てつつ、最先端に繋がる高度な数学概念にまで踏み込んだ一冊です。
【図書館からのひとこと】
島根大学附属図書館本館には「笑わない数学」のDVDも所蔵しており、館内での視聴が可能です。利用希望の方は、カウンターにお申し出ください。
| タイトル | 図解まるわかり ロボットのしくみ |
|---|---|
| 著者名 | 三津村 直貴 |
| 発行年 | 2025 |
| 出版社 | 翔泳社 |
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ロボットは、機械の機構や運動を支える技術、モータやセンサなどの電気電子技術、AIや制御プログラムなどのソフトウェアが組み合わさって動いています。
本書は、ロボットの基本的なしくみから、工場、物流、医療、接客、家庭などでの活用例、さらにAIとの関係や今後の展望までを豊富な図解でわかりやすく紹介しています。
最近は、AIが現実世界で見て、考え、動く「フィジカルAI」にも注目が集まっています。
総合理工学科の<機械電気人材養成履修モデル>で学ぶ「ものづくり」は、まさにメカ×エレキ×ソフトを組み合わせて、新しい機能や価値を生み出す学びです。身近なロボットを入口に、機械工学と電気電子工学が社会とどのようにつながっているのかを感じてほしい一冊です。
| タイトル | 新版 建築デザインの構造と造形 |
|---|---|
| 著者名 | 富岡 義人、小野 徹郎(編著) |
| 発行年 | 2025 |
| 出版社 | 鹿島出版会 |
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本書は、建築デザインを専攻しようとしている生徒さん、また、現在専攻している学生さんにとって、多数の絵が立体的に描かれており、建築への興味やその創造性を大きく育てられる良書です。
構成は、設計のプロセスから建築としての図面表現、立体構造物としてのイメージや構造形式の解説に及んでおり、建築設計だけでなく建築構造の考え方も平易な表現で説明されています。建築は、普段の生活で最も人に近く、そして多く目に触れる人工物であり、普段から意識して生活したり街を歩いたりすることで得られるものが多い専門分野です。そのための基礎知識として、まだ建築の勉強をしていない生徒さんにも建築デザインの考え方や形になるプロセスの理解の一助となるでしょう。
建築デザインを志すみなさんの読み物として、参考書として、また、絵の表現の見本としても価値のある一冊だと思います。
| タイトル | 環境DNA入門 ただよう遺伝子は何を語るか |
|---|---|
| 著者名 | 源 利文 |
| 発行年 | 2022 |
| 出版社 | 岩波書店 |
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環境DNAという言葉をご存じでしょうか。生物が水中や土壌中に残したDNAの断片を手がかりに、生物の存在や分布を調べる手法です。日本では2011年頃から環境DNA研究が急速に発展し、現在では生態学や水産学をはじめ、さまざまな分野で活用されています。
本書の魅力は、日本における環境DNA研究の第一人者である著者が、その黎明期を自らの体験とともに語っている点です。
今日では多くの研究者が携わる最先端分野となった環境DNA研究ですが、もとは何気ない発見や素朴な疑問から始まりました。新しい研究分野を切り拓く過程での試行錯誤や苦悩、そして発見の喜びが臨場感豊かに描かれており、研究者の思考や情熱に触れることができます。
また、ネッシーのような未知の生物の探索といった夢のある話題や、国内外のさまざまな研究事例も紹介されています。環境DNA研究がどのように発展してきたのかを知ることができるだけでなく、研究が生まれ発展していく過程の面白さにも触れることができます。
平易な言葉で書かれているため、高校生の皆さんにも読みやすい一冊です。なお、研究協力者の一人として私の名前も少しだけ登場しますので、探してみてもらえると嬉しいです。
| タイトル | 図説 日本の森林 −森・人・生き物の多様なかかわり− |
|---|---|
| 著者名 | 日本森林学会(編) |
| 発行年 | 2024 |
| 出版社 | 朝倉書店 |
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沢山の写真を用いて美しい森林や貴重な森林を紹介するだけではなく、人の手で造成されてきた木材生産のための人工林や海岸砂防林、寺社林、動物や微生物の棲み処としての森林なども紹介されています。日本人がどのように森林にこれまでかかわってきたか、どのように森林を利用してきたかを紹介することによって、将来の森林との付き合い方についても論じられています。
とにかくたくさんの写真が掲載されていて、本の中で日本の森林をめぐる旅行ができる感覚を味わえます。森林科学が専門の日本森林学会の会員が総力を挙げて、高校生にもわかる内容に!
と仕上げた本です。
本学の教員もちょっとだけ記事を書いていますので(七十八頁の吉野林業(奈良県))、是非手に取ってご覧ください。きっと日本の中の、まだ行ったことがない多様な森林に是非出会いたい!
と思えます。
| タイトル | 地球環境問題がよくわかる本(改定版) |
|---|---|
| 著者名 | 浦野 紘平、浦野 真弥 |
| 発行年 | 2023 |
| 出版社 | オーム社 |
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本書は、研究者として数多くの環境問題の解決に貢献し、各種学会の役員や中央環境審議会委員としても活躍してきた浦野紘平博士(横浜国立大学名誉教授)によって執筆されたものです。地球温暖化をはじめ、大気・水・土壌の汚染、生物多様性など十二のテーマにわたり環境問題を取り上げ、現状とその解決に向けた取り組みを分かりやすく解説しています。
また、本書では地球規模の課題にとどまらず、身近な事例も多く紹介されており、環境問題が私たちの生活のすぐそばで起きていることを実感できます。さらに、グラフや表は見やすく整理されて、親しみやすい挿絵も豊富に用いられているため、中高校生でも理解しやすい内容となっています。
巻末には「環境関連主要図書リスト」が掲載されており、専門的でありながら比較的読みやすい書籍が紹介されています。関心を持った分野について学びを深める際の手掛かりとして有用です。加えて、「環境関連団体リスト」も掲載されており、ホームページなどを通じてさらに情報収集を行うことも可能です。
以上のように、本書は環境問題については幅広く知るための入門書として非常に有用で有り、はじめて学ぶ方に強く推薦できる一冊です。
| タイトル | ハイテクの材料王国 古代しまね |
|---|---|
| 著者名 | 出川 通 |
| 発行年 | 2025 |
| 出版社 | 言視舎 |
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古代出雲を中心とする古代しまねは、千年以上前からセラミックス、各種金属(銅、銀、鉄)を系統的に大量に生産できる地域性と技術を併せ持つ場所だったことを、
文献と実地調査で詳しく、分かり易く説明し、特に比較的新しい江戸時代であっても、他の地域がせいぜい民芸品を家内工業的に製造している中、中国山地に数千人の製鉄エンジニア、砂鉄採取のための一万人規模の農民、製鉄のための炭焼き職人と大量の材木を供給する林業関係者を合わせると、数万人規模の産業が中国山地に存在する特殊なハイテク王国だったことを述べている。
著者は出雲市出身で、材料系大手エンジニアを経て、現在東京在住で経営コンサルティングを手掛ける、島根愛溢れる趣味人。
島根大学では、2018年のNEXTA設立、2023年の材料エネルギー学部と、材料拠点の形成を目指す動きが加速しているが、そのベースには本書で説明している、古代出雲(広域に言えば古代しまね)での材料製造の長い歴史が有る。玉造の勾玉(古墳時代)加工技術、隠岐の黒曜石(旧石器時代)、出雲部の銅山と青銅器(荒神谷銅剣は弥生時代)、たたら製鉄技術の完成は鎌倉時代以前……。島根大学や材料に関わる全ての人、大学生、高校生、そして市民の方々に広く読んで頂きたい本である。
| タイトル | 生命とは何か |
|---|---|
| 著者名 | シュレーディンガー |
| 発行年 | 2008 |
| 出版社 | 岩波書店 |
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本書は、量子力学の創始者の一人であるエルヴィン・シュレディンガーが第二次世界大戦進行中に行った講演を基に著した著書である。「生命現象は物理学や化学の原理によって理解できるはず」という著者の考えに基づいて、熱力学的観点から生命現象が説明されている。
本書が書かれた時点では、ワトソンとクリックのDNA二重らせん分子が遺伝情報の本体であることが、まだ知られていなかった。それにも関わらず、シュレディンガーが遺伝情報を伝える実体について、論理的な思考によって「染色体がそうだ」と推論するのは流石である。
本書に書かれている内容で最も有名な言葉は「生物は負のエントロピーを食べている」というフレーズだと思う。生命を形作る細胞の秩序は熱力学の原理に従って時間経過に伴って不可避的に崩れ、内部のエントロピーが増大してゆく。増大したエントロピーを外部から取り込んだ「負のエントロピー」で相殺することによって細胞は崩壊を避けているのだ。生物が外界とエントロピーの形でエネルギーをやり取りすることが、生命現象の本質であることをシュレディンガーは本書において明快に説明してくれる。
文系理系を問わず、是非本書を読んで欲しい。比較的分量の少ない本なので気楽にどうぞ。
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