公開日 2019年02月07日
○「東京オリンピック」の誕生 : 1940年から2020年へ / 浜田幸絵著
「東京オリンピック」の誕生 : 1940年から2020年へ
浜田幸絵著
目次
プロローグ─三つの東京オリンピック
岸清一の銅像/本書の視点/先行研究/メディア・イベントとしてのオリンピック/
本書の構成/「国際」と「グローバル」/メディアとオリンピック/
ナショナルな枠組み、グローハルな一体感
第1章 オリンピック招致運動前史─西洋のスポーツ・イベントと日本─
(1) 日本のオリンピック参加
1908年ロンドン大会まで/日本人の出会ったオリンピック/嘉納治五郎の1OC委員就任/
オリンピックを伝えるメディア/ロンドン大会の報道/ストックホルム大会の報道/
日本人の身体に注がれる視線/経験や技術の差
(2) オリンピックと「日本人の地位」の向上
成績不振の日本選手団/アムステルダム大会と日本の活躍/スポーツを通じた国家イメージの形成/
高まるロサンゼルス大会への関心/オリンピックのメディア・イベント化/
オリンピックの大衆化/西洋に追いついた日本?
(3) 東京でオリンピックを
東京オリンピック開催の希望/紀元2600年のオリンピック招致/オリンピック開催地に立候補
第2章 「東洋」初のオリンピック開催へ
(1) 「東洋」の代表としての日本
「東洋初のオリンピック」は日本で/オリンピック史上の意義/<オリエンタリズム>への迎合
(2) 東京オリンピックの懸念材料─距離、気候
東京は遠い/選手派遣費を補助/ラツール会長との交渉/東京招致成力/東京の気候と会期問題/万博との調整
(3) 会場の選定
組織委員会での検討開始/10万人収容の競技場を/頓挫する明治神宮外苑競技場計画/オリンピックは駒澤で
(4) 聖火りレーの問題
オリンピックの聖火りレー/東京オリンピックの聖火りレーはどこから?/アテネからの聖火りレー計画/組織委員会の方針
(5) 外に見せる「日本」
対外宣伝とオリンピック/東京オリンピックの宣伝方針/オリンピックに向けた国民の教育/
観光地の整備/外国人の接遇対策/東京オリンピックとエスペラント/テレビジョン開発
(6) オリンピックの返上へ
返上説の台頭/「内向き」と「外向き」の対立/地方にとっての東京オリンピック
第3章 <東京オリンピック>の残像
(1) オリンピックには参加したい
オリンピック返上の発表/オリンピック再招致の方針/IOC委員への挨拶/再招致を目指す動き/
ヘルシンキ大会への選手派遣
(2) 「聖火」から「聖矛」へ
「競技スポーツ」よりも「国民体位の向上」/聖矛継走と国民精神作興体育大会/オリンピックを想起させる聖矛継走
(3) よみがえる<オリンピック>
聖火・継走の流行/出雲大社の聖火がニューヨーク万博へ/紀元2600年の聖火りレー/
聖火りレーの消滅/返上後の「オリンピック」/「民族の祭典」「美の祭典」の公開/よみがえるオリンピックの記憶
第4章 戦後の国際社会への復帰とスポーツ
(1) 戦後のスポーツ
競技会の再開/ロンドン・オリンピックへの参加を模索/IOC委員のネットワーク/ロンドンには行けないが…
(2) 水泳による日米親善
国際競技への復帰/ハワイやサンパウロから水泳選手招聘の希望/まずは全米水泳選手権/
日系人の歓迎/日本での報道/GHQの意図/野球、水泳、レスリング、アメリカ、ブラジル…/
1964年東京オリンピック招致運動につながる人脈
(3) 子供たちに語られる「オリンピック」
国民のオリンピックに対する理解/教科書の中の戦前オリンピック美談/ヘルシンキ大会への小学生記者の派遣/
ヘルシンキ大会と日本の小学生
(4) 東京オリンピックを再ぴ
東京大会招致運動の開始/IOC委員への働きかけ/IOCミュンヘン総会
第5章 <幻の東京オリンピック>の実現─「世界の祭典」を開く日本
(1) 聖火は東京へ
国民体育大会、アジア大会の「聖火」/アジアの国々を通って来る聖火/聖火は全国を駆け抜けた/
宮崎県の「平和の塔」と聖火りレー/形式の踏襲/「聖火りレー」のメディア表象/原爆と聖火
(2) 祭典の準備
外国人の視線/米軍基地の返還/駒澤オリンピック公園の整備/外苑の国立競技場/周辺会場/
首都圈の交通整備/清潔できれいな東京へ/都民の公徳心向上運動/オリンピック国民運動/
オリンピック精神の普及/外客を受け入れるホテル/選手村の食事/食文化の研究/
言葉の壁を乗り越えるために/ピクトグラム
(3) テレビ・オリンピック
オリンピックとテレビジョン開発/戦後のテレピの普及/世界の放送/NHKと東京オリンピックのテレビ放送/
カラー放送、スローモーション、接話マイク/沖縄のオリンピック放送/海外放送機関との契約締結/
宇宙中継/放送権概念の誕生と情報格差
(4) 戦争の記憶と平和の祭典
開会式の日に/復興を成し遂げた日本/学徒出陣式とオリンピック/GANEFO問題/
「君が代」の旋律/歌詞の公募/音楽の連続性/日系人とオリンピック/海外日系人大会/
競技報道/芸術展示/テレビを通した盛り上がり/ナショナリズムの危うさ/「世界は一つ」、海外からの視線
エピローグ─1964年から2020年へ
よみがえる1964年大会/「コンセプト」を失った2020年大会/メディア環境の変化/
商業主義とスポンサー/オリンピック批判とメディア/オリンピックの変容、多様性の包含/
女性の参加/「国家」を越えるスポーツ選手/オリンピックと国家、政治
参考文献
別表
あとがき
索引
貴重な資料をありがとうございました。