公開日 2018年08月10日
多民族社会の軍事統治 : 出土史料が語る中国古代 / 宮宅潔編
(丸橋充拓先生ほか著)
「多民族社会の軍事統治 : 出土史料が語る中国古代 / 宮宅潔編」
目次
はじめに
──共同研究の経緯と問題の所在
I 研究動向篇
第1章 中国古代軍事史研究の現状 [宮宅潔]
はじめに
1. 欧米における中国軍事研究──三つの "Introduction" から
2. 中国における軍事史研究
3. 日本における中国軍事史研究──秦漢時代
4. 「軍事」への注視と史料の洗い直し
第2章 「闘争集団」と「普遍的軍事秩序」のあいだ
──親衛軍研究の可能性 [丸橋充拓]
はじめに
1. 親衛軍研究の近況と展望
2. 親衛軍の二面性
3. 隋唐軍制理解への波及
おわりに
II 論考篇
第1部 「中華」の拡大と軍事制度:占領支配の諸相
第3章 征服から占領統治へ
──里耶秦簡に見える穀物支給と駐屯軍 [宮宅潔]
はじめに
1. 穀物支給簡の分析
(1) 穀物支給簡の形状と書式
(2) 記載内容の分析
(3) 穀物支給の実態
2. 戍卒への穀物支給
(1) 兵種と支給方法の関係
(2) 穀物の貸与とその償還
(3) 食糧自弁の原則とその限界
おわりに
第4章 秦代遷陵県の「庫」に関する初歩的考察 [陳偉]
1. 職掌
2. 吏員
3. 徒隷
4. 関連問題
第5章 漢代西北辺境防備軍の社会構造
──出土史料の分析に基づく方法論的考察 [エノ・ギーレ]
はじめに──典籍史料から
1. 研究上の課題と関連する問題
2. 理論上の士台と軍事制度
3. 徴兵の仕組み
4. 研究状況
5. 肩水金関漢簡から得られる情報と方法論上の問題点
第6章 漢代長城警備体制の変容 [鷹取祐司]
はじめに
1. 戍卒出身地の変化
(1)戍卒の出身地記載があり年代が確定できる簡の集成
(2) 肩水金関址出士戍卒簡の時期分布
2. 成帝中期以降における戍卒の出身地変化の背景
(1) 「住─歳─更」制の動揺
(2)「庸」の拡大とその問題化
3. 居延における長城警備体制の変容
(1) 居延地域の戍卒総数
(2) 吏卒家属の烽燧同居
(3) 戍卒の「庸」化と家属同居
(4) 騎士の烽燧勤務
おわりに
第2部 軍事制度よりみた古代帝国の構造
第7章 秦漢「内史─諸郡」武官変遷考
──軍事体制より日常行政体制への転換を背景として [孫聞博]
はじめに
1. 秦及び漢初における「内史─諸郡」の武官の対等構造
2. 武帝以降における地方武官の「辺地化」の趨勢
3. 後漢の軍事組織の「辺地化」と地方の屯兵
第8章 漢代における周辺民族と軍事
──とくに属国都尉と異民族統御官を中心に [佐藤達郎]
はじめに
1. 漢代における周辺民族の軍事動員とその歴史的影響
2. 漢代における周辺民族の管理
(1) 属国都尉
(2) 「異民族統御官」
3. 属国都尉下の諸民族管理と軍事動員
(1) 属国下の諸民族管理
(2) 軍事動員
(3) 軍役以外の諸雑役への使役
4. 「異民族統御官」下の周辺民族管理と軍事動員
──特に烏桓校尉, 護羌校尉の場合
(1) 鳥桓校尉
(2) 護羌校尉
5. 「帰義蛮夷」をめぐって
第9章 漢帝国の辺境支配と部都尉 [金秉駿]
はじめに
1. 部都尉は異民族を主管する特殊機構か
2. 部都尉は郡県に比べて緩やかな政策を展開したか
3. 部都尉は郡都尉とは別の特殊組織か
4. 部都尉は異民族の民事を統御する「治民機関」か
おわりに
第3部 「中華」の転換と再編:多民族社会における軍事と支配
第10章 前秦政権における「民族」と軍事 [藤井律之]
はじめに
1. 前秦の兵力
(1) 前秦史概観
(2) 兵力動員数の推移
(3) 動員兵数増加の要因
2. 石刻史料にみえる「民族」 と軍事
(1) 鄧太尉祠碑と広武将軍□産碑
(2)「雑戸」と軍事
(3) 前秦梁阿広墓誌
3. 氐戸の分徒
おわりに
第11章 北魏道武帝の「部族解散」と高車部族に対する羈縻支配 [佐川英治]
はじめに
1. 高車伝「得別為部落」条の検討
2. 道武帝と高車諸部族
3. 柔然の勃興
4. 護高車中郎将と附国高車
おわりに
第12章 唐前半期における羈縻州・蕃兵・軍制に関する覚書
──営州を事例として [森部豊]
はじめに
1. 唐代営州の沿革
2. 営州管内の羈縻州と軍府
3. 初唐期の行軍と契丹系軍府
おわりに
第13章 唐代高句麗・百済系蕃将の待遇及び生存戦略 [李基天]
1. 問題の所在
2. 唐前期における蕃将中の諸衛将軍の任命傾向
3. 高句麗・百済系蕃将の入仕類型
4. 高句麗・百済系蕃将の武官号及び唐朝の待遇
5. 蕃将の勢力基盤
6 結びに代えて──唐朝の蕃将に対する認識及び蕃将の生存戦略
後記
索引
貴重な資料をありがとうございました。